広告規制の壁:伝えたい「専門性」や「技能」を伝えられない法的ジレンマ
「伝えたいのに、伝えられない」もどかしさ
「〇〇大学で解剖学を学び、△△流鍼灸の認定を受けています」
「腰痛専門で、これまで1,000人以上の患者様を診てきました」
「当院では、最新の〇〇療法を導入しています」
もしあなたが、こうした情報を自由に広告できたら、患者様はもっと集まるのではないでしょうか? しかし、以前にも取り上げたように、現実には、私たちあはき師は法律により広告内容が厳しく制限されており、自らの専門性や技能を十分にアピールすることができません。
一方、無資格のリラクゼーション店は自由に広告を出し、「肩こり・腰痛スッキリ!」といったキャッチコピーを堂々と掲げています。この不公平な競争環境が、私たちの経営を圧迫しているのです。今回は、広告規制という「壁」の実態と、その中でどう戦うべきかを考えてみたいと思います。

あはき法が定める広告規制の実態
既述のとおり、あはき師の広告は、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)」および「医業類似行為に関する広告規制」によって厳しく制限されています。
具体的に広告できる内容は、以下のような基本的な情報のみです。
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【広告可能な内容(一例)】
・施術者の氏名、住所、電話番号
・業務の種類(あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう)
・施術日、施術時間
・出張施術の実施
・駐車場の有無
・料金
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逆に、広告できない(またはグレーゾーンの)内容は以下の通りです。
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・治療効果や効能(「腰痛が治る」「肩こりに効く」など)
・具体的な症状名や疾患名(「ヘルニア専門」「坐骨神経痛治療」など)
・誇大表現(「地域No.1」「〇〇賞受賞」など)
・ビフォーアフター写真
・患者様の声(場合によっては可能だが、慎重な表現が必要)
・専門資格や学歴(国家資格以外の民間資格など)
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つまり、患者様が最も知りたい「何に効くのか」「どんな症状を診てくれるのか」といった情報を、私たちは明確に伝えることができないのです。
無資格店との「不公平な競争」
ここで深刻な問題は、無資格のリラクゼーション店には、こうした広告規制がないということです。
彼らは「医業類似行為」ではなく「リラクゼーションサービス」として営業しているため、「肩こり・腰痛スッキリ!」「疲労回復!」「デトックス効果!」といった表現を自由に使えます。GoogleやInstagramで「肩こり 解消」と検索すれば、上位に表示されるのは無資格店の広告ばかり——こうした状況が常態化しています。
患者様から見れば、「どちらも同じマッサージ」に見えます。そして、情報が豊富で、料金が安く、予約しやすい方を選ぶ——これが現実です。
国家資格を持ち、法律を守っている私たちが、情報発信の面で圧倒的に不利な立場に置かれている。この不公平な競環境が、業界全体の疲弊を招いているのです。
デジタル時代における広告規制の曖昧さ
さらに複雑なのは、デジタル時代における広告規制の解釈が曖昧であることです。ホームページやブログ、SNS投稿は「広告」に該当するのか? 患者様の声やビフォー
アフター写真は掲載できるのか? 「〇〇専門」という表現は許されるのか? こうした疑問に対して、明確な答えはありません。
自治体や保健所によって見解が異なることもあり、「どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか」が分からない。結果として、多くのあはき師は「念のため何も書かない」という極端に保守的な対応を取り、せっかくのWebサイトが「施術所の名前と電話番号だけ」という無味乾燥なものになってしまうのです。
一方、法律の隙間をついて積極的に情報発信している施術所もあります。彼らは「ブログ」や「コラム」という形で、実質的には広告に近い内容を掲載し、集客に成功しています。この「やったもの勝ち」のような状況も、真面目に法律を守っている施術所にとっては不公平感を生んでいます。
規制の中でも工夫できることはある
では、広告規制がある以上、私たちは何もできないのでしょうか? 決してそうではありません。制約の中でも、工夫の余地は無限にあります。
『広告ガイドライン』によく目を通してみましょう。
制約の中で、いかに自分の治療院の良さを伝えるか、常に頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
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